読み方: とおく(文語: とほく)
品詞・語構成: 形容詞「遠い」(文語形「遠し」)の連用形から派生した語。名詞および副詞として機能する。
意味:
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名詞 — 遠い場所、遠方。空間的に離れた位置を指す。
- 用例:「遠くの町」「遠くへ行く」「遠くから来た」
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副詞 — 隔たりの程度が大きいさま。はるかに。
- 用例:「先達には遠く及ばない」「遠く一〇〇〇年の昔から行われている」「遠く上回る」
語源・由来: 上代日本語の形容詞「遠し」(とほし)の連用形「とほく」に由来する。形容詞の連用形がそのまま名詞化・副詞化した例であり、古代から現代まで一貫して使われている。漢字「遠」は、「辵(しんにょう:進む・道)」と「袁(えん:長い衣の意から「長い」を表す)」の組み合わせで、「長い道のり=遠い」という意味を表す会意兼形声文字とされる。
類義語: 遠方、遠隔、遥か、遠距離、遠路、遠め、程遠い、間遠、はるばる、遼遠
対義語: 近く、近辺、至近
代表的な慣用表現・ことわざ:
- 「気が遠くなる」— 非常に長い時間や距離に圧倒されて意識が遠のくようであるさま。
- 「遠くの親類より近くの他人」— 遠方にいる親類よりも、近所にいる他人の方が実際の助けになるという意味。
- 「遠くて近きは男女の仲」— 一見遠いようで実際は近い関係にある男女の機微を表す。
- 「遠くの火事より背中の灸」— 自分に直接関わる小さな問題の方が、遠くの大きな問題より切実であることのたとえ。
文法上の特記事項: 現代日本語では連用形「遠く」が副詞として独立して使われる一方、名詞としては「遠くの〜」「遠くに〜」「遠くを〜」のように連体助詞「の」や格助詞「に」「を」「へ」などを伴って用いられる。連体修飾形としては「遠い」が用いられ、区別される。