絹(きぬ)は、カイコ(蚕)が吐く糸から作られる繊維、およびそれから作られた織物のことである。絹糸は、フィブロインというタンパク質からなり、セリシンという接着性タンパク質で覆われている。セリシンは、生糸を煮沸処理(精練)することで除去される。
絹は、その独特の光沢、滑らかな肌触り、保温性、吸湿性などから、古くから高級衣料品として珍重されてきた。また、耐久性にも優れ、正絹(しょうけん)と呼ばれる高品質の絹は、長期間の使用に耐える。しかし、紫外線や摩擦には弱く、変色や傷みやすいという弱点も持つ。
絹の生産は、養蚕(ようさん)と呼ばれるカイコの飼育から始まる。カイコは桑の葉を食べて成長し、繭(まゆ)を作り、その中に絹糸を吐き出す。繭から糸を取り出す作業を製糸(せいし)といい、精練、紡績を経て、様々な種類の絹糸が作られる。
絹織物は、その織り方や染色によって、多様な種類と模様を持つ。代表的なものとして、生糸をそのまま織った「生織り」、精練した糸を使った「練り織り」、様々な模様を織り出した織物などがある。また、絹は、着物、帯、ネクタイなどの衣料品だけでなく、絵画、書道、工芸品など、幅広い用途に使用されている。
絹の生産地は、中国、日本、インド、ベトナムなど、世界各地に広がっている。近年は、合成繊維の台頭により、絹の生産量は減少傾向にあるものの、その高級感と独特の風合いから、依然として高い人気を保っている。