リバーブ(英: reverb)は、reverberation(リバーブレーション)の略称であり、日本語では「残響」を意味する音響用語である。音が発生した後、壁や天井、床などの周囲の物体に複数回反射し、元の音が止んだ後も徐々に減衰しながら持続して聞こえる現象を指す。物理的には、無数の反射音(エコー)が異なる遅延時間で合成されることによって生じる。
音楽制作や録音技術の分野では、この自然な残響現象を人工的に模倣する音響効果(エフェクト)の一種として広く用いられている。リバーブを付加することにより、音に奥行きや広がりが生まれ、あたかもホールや大聖堂、小部屋など特定の空間で演奏されているかのような質感を再現できる。このため、ポピュラー・ミュージックをはじめとするほとんどの録音作品で使用される基本的なエフェクトの一つである。
リバーブの音響構造は主に以下の要素で構成される。
- 直接音(Direct Sound):音源から直接耳に届く音。
- 初期反射(Early Reflections):壁や天井に最初に反射してから耳に届く数回の反射音。空間の大きさや形状を知覚する手がかりとなる。
- 残響尾(Reverberation Tail):無数の反射が重なり合いながら徐々に減衰していく後続の音。
リバーブの種類としては、以下のようなものが代表的である。
- ホールリバーブ:大きなコンサートホールの広がりを再現する。
- プレートリバーブ:金属板の振動を利用した明瞭な響きが特徴。1950年代に登場し、ビートルズなどの作品に使用された。
- スプリングリバーブ:金属製のバネを振動させる方式で、ギターアンプに内蔵されることが多い。1960年代以降、ロックやカントリーミュージックで広く用いられた。
- デジタルリバーブ:1980年代以降に普及した方式で、デジタル信号処理により多様な空間をシミュレートする。Lexicon 480LやYamaha REV7などが名機として知られる。
リバーブは「エコー」と混同されやすいが、両者は異なる概念である。エコー(山びこ現象)は単一または少数の反射音が明確に遅れて聞こえるのに対し、リバーブは多数の反射音が密に重なり合い、連続的な余韻として知覚される点で区別される。
また、リバーブは音楽制作以外にも、映画やゲームなどの音響デザイン、建築音響の分野においても重要な要素として扱われている。