ふるさと(古里/故里/故郷)は、日本語の名詞であり、主に「自分が生まれ育った土地」を指す語である。漢字表記としては「古里」「故里」「故郷」などが用いられるが、現代日本語では「故郷」と書いて「こきょう」と読む場合と、「ふるさと」と読む場合がある。新聞などの表記基準では、読みを明確にするため「古里」またはひらがなの「ふるさと」が用いられることが多い。
意味
国語辞典(デジタル大辞泉、精選版日本国語大辞典など)によれば、この語には複数の意味が記録されている。
- 自分の生まれ育った土地。故郷、郷里。
- 荒れ果てた古い土地。特に、かつて都などがあったが、現在は衰えている土地(旧都)。
- 以前住んでいた、または以前に行ったことのある土地。昔なじみの場所。
- 宮仕え先や旅先に対して、自分の家・自宅を指す謙称。
- 比喩的に、精神的なよりどころとなる場所。
語源・成り立ち
「ふるさと」は「ふる(古)」と「さと(里)」の複合語とされる。「ふる」は「古い・長い時間が経過した」という意味、「さと(里)」は「人々が互いに関係しながら生活している集落・地域」を意味する。したがって、原義は「昔からある土地」「古くからなじみのある土地」という意味合いを持っていたと考えられる。
歴史的変遷
この語は古くから日本語に存在し、『万葉集』(8世紀後半)や『古今和歌集』(905〜914年成立)などの古典文献に用例が見られる。当初は「昔なじんだ土地」「かつて住んでいた場所」という広い意味で用いられており、現代の「生まれ育った場所」という解釈よりも広範な意味を含んでいた。
江戸時代には旅が一般化し、故郷を懐かしむ心情が俳諧や和歌に多く詠まれるようになった。明治時代には都市への移住が進み、1914年に発表された文部省唱歌『故郷』(高野辰之作詞、岡野貞一作曲)の影響もあって、「故郷を懐かしむ」という感情がこの語に強く結びつくようになった。さらに高度経済成長期には都市部への人口流出が進み、「生まれ育った場所」としての意味が一層強調されるようになった。
現代における用法
現代日本語では、主に「自分が生まれ育った土地」を指す語として広く用いられる。また、地方自治体の地域振興施策(「ふるさと納税」など)や、地域への愛着を表す文脈でも頻繁に使用される。音楽・文学・映画など多くの芸術作品の題材・題名としても用いられており、日本語の文化・社会において広く定着した語である。
類義語
故郷(こきょう)、郷里、郷土、田舎、在所、生まれ故郷、地元、出生地、出身地などが類義語として挙げられる。ただし、それぞれの語が持つニュアンスや使用文脈には差異がある。